「反脆弱」を読んで(プロローグ・第一部)

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Jan 22, 2023
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「反脆弱」を読んだ読書感想文とまとめ(プロローグ・第一部)
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Post
筆者はブラックスワンという別の本で、銀行システムの危険さについて書いている。
反脆弱という本を読んだので、会社の代表・そしてエンジニアとして本から得られた知見と本全体の感想を話していきたいと思います。

プロロ ーグ

反脆弱とは何か

脆さに対するantiの言葉で、頑健さ・高耐久ではなく、ダメージを糧にするような性質のことを、本の中では反脆弱と呼んでいる。
この言葉が存在しないことについて序盤で説明されていて、関係的な意味で言葉の穴だと思った。これは第一章でも説明されていて、正の反対語は負であって、無ではない。fragileの反対語は頑丈でも耐久力があるでもなく、反脆弱という新しい言葉で表すべき性質だということだ。
有機的なもの・複合的なもの(人間)と、無機的なもの(原始的なコンピュータやホッチキス)の違いは、反脆弱の性質があるかどうかだと書かれている。
理論的に物事を考えることは反脆弱性に欠けているとされ、反脆さがあれば、行動が得意になるとも書かれている。
反脆さがあれば、「予測に頼らない」。ほとんどの重大なことは予測できない。今のウクライナ戦争も、ほとんどの専門家が予測できなかった。これをブラックスワン問題と呼ぶらしい。
反脆さを見極める方法として、以下のようなテストも定義している。
ランダムな事象によるダウンサイド(潜在的損失)よりも、
アップサイド(潜在的利得)の方が大きいものは反脆い。
最初の章の最後には、現代性は反脆さを侮辱し、壊していると書かれている。トップダウン的なものはむしろ脆さを生み出し、ボトムアップ的なものは適度なストレスや無秩序のもとで成長する。

逆英雄

アップサイドとダウンサイドをコントロールし、ダウンサイドだけを市民に押し付ける人間が増える時代になっている。歴史的には、リスクを冒す人間こそが英雄となっていたが、現代においては、リスクを冒さない人間ほど出世し、権力を握る。そして押し付けられたダウンサイドの損失は重なり、システムを破壊する(2008年の金融危機のように)と述べている。
リスクを予想して、そのリスクを負わせようとするフラジリスタ(後ほど出てくる)は逆英雄である。
 

ブラックスワン問題(複雑性の過小評価)

予測できないものを予測しようとし、不意を衝かれて被害を受ける人のことを七面鳥と呼んでいる。専門家たちは、歴史的事象を適当に辻褄を合わせて説明し、なんとか教科書に載るように線形に補正する。実際に起きていることは複雑で多面的なのに、それを過小評価する。
希少な事象の計算可能性はゼロであると書いてある。これは小説の三体などにもあるが、統計的分析ができないものは全てランダムで神的であるという話と同じだ。
 
自然に学び、必要な反脆さ
  • 定期的に破壊すること
  • 置き換えること
  • 選択すること
  • 自己再生すること
 
技術は、オタクが作った設計書を押入れにしまい込み、リスクテイカーたちがいじくり回し
試行錯誤を繰り返した結果として生まれたもの。飛行機の飛ぶ原理がわかっていないように。
 

リスクは測れない、脆さは測れる

 
フラジリスた
科学的知識の適用範囲を過大評価する現象
科学で全てを説明しようとして、ニーチェがいうところのディオニュソス的なものに対して盲目になっている。
 
ヒューリスティック → 経験則で直感的に答えを決めること
ゴムは反脆いが、ガラスは脆い。でもガラスの方が硬い。変動性を嫌うものは脆い。
脆いものは、変動性に晒されている状態で、利益を受けやすいかどうか。
変動性とは、無秩序に関わる、不確実性、変化、不十分な知識、ぐうぜん、混沌、変動性、無秩序、エントロピー、時間、未知のもの、ランダム性、混乱、ストレス、間違い、結果のばらつき、エセ知識
 
ドクサ的コミットメント

第一部

ミトリダタイゼーション(耐毒性)は頑健で、ホルミシス(毒で人間が健康になる)は反脆さ。
野菜を食べると、ビタミンを補給するのではなく、野菜が捕食者から身を守るために持っている毒を摂取することとなり、その刺激によって健康になるという説もある。また、カロリー制限で健康になり、過食で病気になるのもホルミシスの一種と言える。
 

過剰補償

ストレスや必要性が欠けると、堕落する。これを補償不足と呼んでいる。
雑音があった方が集中できるのは、精神によってそれを打ち消そうとすることで、集中を研ぎ澄ますからだという。

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